「人が怖い」私をせめてしまう…
さっきまでにこにこしていた自分が、ふっと消えていく。誰もいなくなって、やっと自分の顔に戻れる。そんな感覚って、ありませんか。
もし心当たりがあるなら、今日のお話は、たぶんあなたのための話なんじゃないかなと思います。
「人が怖い」。今日は、これについて書いてみたいんです。
実は、こんなふうに書いている私自身も、人がそんなに得意なほうじゃないんです。
だから今日は、上から「こうしましょう」とお伝えする話ではなくて、私も同じところで立ち止まってきた一人として、書かせてもらえたらと思っています。
怖いというより、疲れる
「人が怖い」と言うと、震えるくらい怖い、みたいに思われるかもしれません。でも、多くの人にとっては、もっと地味なものなんじゃないかなと思うんです。
何人かで話しているとき…
言いたいことが浮かんでも
「今これを言ったら浮くかな」と思って、飲み込んでしまう。
タイミングを計っているうちに話題が変わって
結局、自分の話はほとんどしないまま相づちだけ打って、
にこにこしてその場をやり過ごす。
そして帰り道
「さっきのあの一言、変じゃなかったかな」
「あの人、ちょっと顔が曇った気がする」
布団に入ってからも
今日の自分を何度も巻き戻して確かめてしまう。
これって、怖いというより、ものすごく疲れますよね。
どうして、こんなに疲れるんでしょうか
私は長いあいだこれを「人が怖いから疲れるんだ」と思っていました。
でも、たぶん順番が逆なんじゃないかなと、今は思っているんです。
隠しているから疲れる。
さっきの場面、ずっと一人二役をしているんです。
言いたいことを飲み込む自分と、
それを抑えてにこにこ顔を作る自分。
本音と、見せる用の自分。
その二人を、人といるあいだじゅうずっと切り替え続けている。
だから、玄関のドアを閉めた瞬間に力が抜けるんですよね。
見せる用の自分をやっと下ろせるから。
人が怖いというより、
人前でもう一人の自分を演じ続けている。
それが、しんどいんじゃないかなと思うんです。
いつから、演じるようになったのか
では、どうして私たちは、そんなことをするようになったんでしょうか。
たとえば、子どものころ。
思ったことをそのまま言ったら、教室がしーんとして誰かがくすっと笑った。仲良しだと思っていた子に、ある日急によそよそしくされた。
打ち明けた秘密を、他の子にしゃべられていた。
そんなこともあったかもしれません。
そのとき、胸の奥がきゅっとなって
こんなふうに思ったかもしれません。
それからです。
本音を引っ込めて、まわりに合わせて
嫌われない自分を作るようになったのは…。
でもこれ、とても賢い判断だったんじゃないかなと思うんですね。
そうやって隠したから、それ以上傷つかずにすんだ。
あのころの自分は、ちゃんと自分を守れた賢い子だったんです。
もう、いないのに
ただ、少しやっかいなのはここからなんですね。
そのとき決めた「自分は隠せ」というルールを
私たちは大人になった今も
まじめに守り続けているんです。
あの日笑った子はもうどこにもいないのに。
あのとき距離を置いた相手とは、もう何の関わりもないのに。
それでも人の前に立つと、勝手にスイッチが入ってしまう。
本当の自分は出すな。
だから、人と会うことが、毎回ちょっとした緊張になる。
本音を抑えて、演じて、帰り道に反省して、ぐったりする。
それを繰り返すうちに、だんだん人と会うのがおっくうになって
「人が怖い」という言葉に、ぜんぶまとめてしまうんじゃないかなと思うんです。
でも、本当に怖かったのは、他人ではなかったのかもしれません。
人の前で、本当の自分を隠して消えていく。
その自分のほうが、つらかったんじゃないかなと思うんですね。
だから、どうしたらいいんでしょうか
「ありのままの自分を出しましょう」と、簡単に言えることではないと思っています。
それができたら苦労しないですよね。
いきなり全員の前で素を出すなんて、危なすぎますし
私だってすぐにはできませんでした。
いまだって、時と場合によっては出来ていません。
そういうものです。
そうではなくて、もっと小さなことなんじゃないかなと思うんです。
まずは、隠してきた自分を責めないであげてほしいんですね。
人が怖いのも、自分を隠してきたのも、あなたが弱いからじゃない。
傷つかないために、必死で身につけた守り方なんです。
よくここまで自分を守ってきたね。そうやって
まず一回、ねぎらってあげてほしいんです。
そのうえで、もし少しだけ余裕があったら…
たった一人でいいんです
「この人なら、たぶん大丈夫」
と思える相手の前で、ほんの少しだけ
いつもは隠している自分を出してみる。
それくらいの一言でいいんじゃないかなと思います。
本音を、ひとかけらだけ置いてみる。
そして、相手がそれでも普通に接してくれたとき
胸の奥に、小さな記録が一つ残るんですね。
「あ、出しても、大丈夫だった」って。
昔、傷ついて作った「自分のままは危険だ」というルールを
その小さな記録が
少しずつ書き換えていってくれるんじゃないかなと思うんです。
子どものころに決めたことは大人になった今
自分でもう一度、決め直していいんですよね。
おわりに
あらためて言いますが…人が怖いのは、あなたが弱いからでも、性格が暗いからでもないと思います。
昔、自分を守るために「隠す」と決めて、その約束を今も律儀に守っている。ただ、それだけのことなんじゃないかなと思うんですね。
だから、まずはその自分を責めないであげてください。そしていつか、たった一人の前で、ほんの少しだけ
自分らしさを出せたらいいなって思います。
ゆっくりでいいんじゃないかなと思います。
私も、まだその途中にいる一人なので
一緒に進んでいけたらうれしいです。
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