半世紀以上生きてきた私が、最近よく思うことがあります。
私が生まれたのは、本当に小さな田舎の世界でした。
社会の仕組みなんて、誰も教えてくれない。
電話もない。もちろんインターネットなんて影も形もない。
私は、その小さな世界の常識だけを握りしめて育ちました。
だから長いこと、自分のことを恥ずかしく思っていたんです。
世間を知らない。ものを知らない。
みんなが当たり前に知っていることを、自分だけ知らない気がして。
私はよく、「田舎者やから」と、自分のことをどこかで小さく扱っていました。
でも、今は少し違うふうに思うんですね。
だって、私が生きてきたこの数十年の間に、世界のほうが何回もひっくり返ったんです。
電話もなかった家に育った私が、今こうしてスマホひとつで世界中の人と繋がっている。
昔なら、一生出会わなかったような価値観に触れている。
昔は「こうするしかない」と思っていたことが、今では「別にそんなことしなくてもいいよね」に変わっている。
私は、その変化を、自分の目で見てきました。
価値観も、ずいぶん変わりましたよね
私が若い頃、「24時間戦えますか」っていうコマーシャルが流行っていました。
猛烈に働くことが格好いい時代です。
家庭を顧みず働く人が、「立派な大人」だった。
「亭主元気で留守がいい」なんて言葉もありました。
今聞いたら、ちょっと笑ってしまうような言葉かもしれませんけど、あの頃は本当に、みんなそれを「正しい」と思っていたんですよね。
でも今、あの価値観をそのまま「素晴らしい」と言う人は、たぶん少ないと思うんです。
むしろ、「しんどすぎる」「ブラックやん」って言われる。
あんなに“正解”だったものが、時代が変わると、全然違う見え方になるんですね。
ここで、私は思うんです。
あの頃の大人たちは、本気で「それが正しい」と信じて生きていた。
でも、今の私たちは、それを絶対の正解だとは思っていない。
だったら――
今、私たちが「これが正しい」と信じていることも、未来から見たら、 「えっ、そんなこと信じてたの?」 って言われるのかもしれません。
「ちゃんとしなさい」という物差し
「ちゃんとしなさい」って、私たちはずっと言われてきました。
決まった時間に学校へ行って、会社へ行って、人に合わせて、空気を読んで、結婚して、家庭を持って。
それが“ちゃんとした人生”だって。
でも、その物差しから少しでも外れると、人は急に生きづらくなるんですよね。
まるで、「ここから外れたら踏み潰される」みたいに怖くなる。
私も、そういう怖さを持っていました。
でも最近思うんです。
その“ちゃんと”って、本当に絶対なんでしょうか。
「24時間戦えますか」が古びたみたいに、今の“当たり前”も、いつか古びていくのかもしれない。
永遠の真理みたいな顔をしていても、時代が変われば、案外あっさり変わっていく。
今のままが、ずっと続くわけじゃない
もし今、苦しくて、「もうこの先ずっとこんな人生なんじゃないか」って感じている人がいるなら。
たぶん人って、“今”が永遠に続くと思う時に、一番苦しくなるんじゃないかなって思うんです。
私もそうでした。
でもね、今のままが、ずっと続くことなんてないんです。
私は、世界が変わっていくのを見てきました。
小さな田舎の世界しか知らなかった私が、こんなふうに外の世界を見られるようになった。
それだけでも、昔の私からしたら、信じられないことなんですよね。
だから私は思うんです。
変わるのは、自分だけじゃない。
常識のほうも、世界のほうも、ちゃんと動いていく。
この先、どんなふうに変わっていくんでしょうね。
私はね、ちょっと楽しみなんです。
今のままが続くとは、あまり思っていません。
きっとまた、今では想像できないような世界が、広がっていくんじゃないかなって思うんです。
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