嫁に頭が上がらない
こんにちは。
今日は、「妻が怖い」という男の人の心理について、お話ししていこうかなと思っているんですね。
昔はテレビ、今は動画なんかでも、
仕事帰りの、ほろ酔いのお父さんにマイクを向ける、っていう企画、わりとありますよね。
あれで、
「いやー、うちの嫁さんが怖くてね」
「頭が上がらないんだよ」
「尻に敷かれてるんだよ」
なんて話を、酔っ払った拍子に、ぽろっとしている人。
いますよね。
会社では、なかなかの地位にいて、
仕事ではしかめっ面をしていたりするから、
なおさら面白かったりするんです。

なぜ「奥さんが怖い」と言う人が多いのか
じゃあ、なぜこんなにも、
「奥さんが怖い」という人が多いんでしょうか。
一つは、「奥さんが怖い」っていうスタンス自体が、
もう一種の鉄板ネタとして広まっていて、
「それを言うと面白いんだ」と思って話している人。
若い頃に、いろんな失敗をしたり、
奥さんを悲しませたり、怒らせたりして、
そのたびに許してもらってきた。
仕事ばかりで、家のことも、子どものことも、奥さんに任せきりだった。
あの頃、寂しい思いをさせたな、と、後になって感じている。
そういう積み重ねがあるなら、
「怖い」というより、「申し訳なさ」が残っているんですよね。
実は、「妻が怖い」は、「母が怖い」だった、というお話なんですね。
奥さんそのものが怖いのではなく
たとえば、こういう人がいます。会社では、それなりの立場にいて、部下にも指示を出している。
仕事では厳しい顔をしているのに、
家に帰ると、急に小さくなってしまう。
奥さんが少し不機嫌そうにしているだけで、
空気が重く感じる。
「何か悪いことをしただろうか」
「早く機嫌を直さなきゃ」
でも、よくよく話を聞いていくと、
その人は、奥さんそのものを怖がっているというより、
“奥さんが不機嫌になった時に出てくる、自分の感覚”を怖がっていることがあるんですね。

最初に顔色をうかがった相手
たとえば、昔、お母さんの機嫌が、
その日の家の空気を決めていた人がいます。
怒らせないように。
困らせないように。
嫌われないように。
まだ小さい子どもですから、
「お母さんにも事情があるよね」とか、
「今日は疲れてるのかな」なんて、冷静には考えられません。
だから、「お母さんが不機嫌なのは、
自分のせいかもしれない」と感じるんですね。
すると、その子は、
“お母さんを怒らせないこと”に、とても敏感になります。
先回りして気をつかう。
機嫌をとろうとする。
いい子でいようとする。
そうやって、「女性が不機嫌になると、
自分がなんとかしなきゃいけない」という感覚を、
体で覚えていくんです。
でも、会社では「出してはいけない感情」として抑えていたりするんですね。
その抑えが強ければ強いほどしかめっ面は深くなります。

大人になっても、体が覚えている
その子が、大人になります。 結婚して、奥さんができる。すると、奥さんが少し黙っただけで、体が反応するんですね。
もちろん本人は、「母親を思い出している」なんて自覚はありません。
でも、心と体は、とても正直なんです。
目の前にいるのは妻なのに、
心の奥では、“お母さんの顔色をうかがっていた頃の自分”が反応している。
だから、
「怒らせちゃいけない」
「機嫌をとらなきゃ」
「自分が悪いんだ」
奥さんの向こうに、お母さんが立っている。
もっと言うと、お母さんの前で、
小さく固まっていた、あの頃の自分が、
まだ心の中に残っているんです。

罪悪感が重なると、さらに複雑になる
ここに、罪悪感も重なると、さらに複雑になります。罪悪感って、その人が悪い人だから出てくるものじゃないんですよね。
むしろ逆で、
「ちゃんとした夫でいたかった」
「大切にしたかった」
「傷つけたくなかった」
という、その人なりの誠実さがあるからこそ、
それができなかった時に、痛みになる。
だから、罪悪感が深い人ほど、
本当は、ちゃんと愛したかった人なんです。
後ろめたさがあると、
人は、相手を実際より大きく見てしまうんですね。
だから、「妻が怖い」の一部は、
奥さん自身が怖いというより、
“後ろめたさを感じてしまう自分”が怖い、ということもあるんです。
そして、そのもっと奥には、
子どもの頃から積み重なった、
「女性の機嫌を損ねてはいけない」という感覚が眠っていることがあるという…
夫婦だけの話ではなく
だから、この話って、夫婦だけの話じゃないんですよね。「あの人の前だと、なぜか萎縮してしまう」
「あの人にだけは、強く言えない」
「機嫌が悪そうだと、必要以上に焦ってしまう」
もしかしたら、私たちは、
目の前の相手だけを見ているわけじゃないのかもしれません。
その人の向こうに、
“いちばん最初に顔色をうかがった誰か”を、
重ねて見ていることがあるんです。
過去の大切な人との感情が、今、別の相手に向け直される。
だから、場所や相手が変わっても、
同じような怖さや、同じような萎縮が、繰り返されるんですね。
もう、その頃の小さな子どもではない
でも、私たちはもう、その頃の小さな子どもじゃないんです。顔色をうかがわないと、生きていけなかった頃は、もう終わっているんです。
怒っている人を、全部、自分の責任だと思わなくてもいい。
誰かの機嫌を、自分ひとりで背負わなくてもいい。
そのことを、少しずつ、自分に教え直していく。 それが、大人になってからの心の作業なのかもしれません。
私たちは、少しずつ、「今」を生き始めるのかもしれません。
目の前にいる人を、過去の誰かとして見るのではなく、
“いまここにいる、その人”として見られるようになっていく。
それは、相手を変えることではなく、
自分の中で止まっていた時間を、終わらせていくことなのかもしれません。
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