親が嫌がることばかりする子ども。
その奥にあるもの
子どもが、親の思うようには育ってくれない。
願ったかたちから、どんどんはみ出していく。
そういう悩みを抱えている方は、想像よりずっと多いのだと思います。
そして同じくらい、
「親が嫌がるとわかっていても、やめられない」
そんな自分を、どこかで嫌いになりそうな人も、たくさんいるのではないでしょうか。
親というのは、自分が育ってきた「正しさ」を持っています。
こう生きるべき。
こうあるべき。
それは多くの場合、親自身が、そのまた親から受け取ったものだったりもするんですよね。
だから、子どもがその枠からはみ出していくと、不安になる。
「このままで大丈夫なんだろうか」
「私の育て方が悪かったんだろうか」
自由に育ってほしいと願っていたはずなのに、いつのまにか、自分の枠の中にいてくれることを願ってしまう。
でも、それって、愛情がないからではないんですよね。
むしろ、大切に思っているからこそ、
自分が知っている「安全な道」を歩いてほしくなるんだと思うんです。
一方で、子どものほうにも、もちろん言い分があります。
親の思うようには育っていない自分を、心のどこかで「ダメなんじゃないか」と感じている。
それでも、自分の生き方をしたい。
そして、ここがとても大事なところなのですが――
本当はずっと奥のほうで、
「親に認めてほしい」
そう思っていることが、とても多いんですね。
でも、その願いは、自分でも見えなくなっていることがあります。
表に出てくるのは、 「親をあっと言わせてやりたい」 みたいな、もっと荒っぽい衝動だったりする。
だから、親が眉をひそめるようなことばかり、選んでしまう。
ここに、すれ違いの正体があるように、私は思うんです。
親が嫌がることを、過剰にしてしまう子ども。
それは、反抗しているように見えて、 本当は叫んでいるのかもしれません。
「ここにいる私を見て」
普通に「これが私だよ」と言って、 ちゃんと受け取ってもらえるなら、 過剰になる必要なんてないんですよね。
声を荒げる必要も、 極端なことをする必要もない。
でも、何度言っても届かない。
だから、ボリュームを上げるしかなくなる。
だんだんエスカレートしていく。
それは反抗というより、 届かない呼びかけなのかもしれないんです。
だとしたら、この悪循環は、どこかで断たなければならない。
そして私は、 最初に手を伸ばすのは、 たぶん親のほうなのだと思っています。
こう言うと、 「なんで親ばかりが折れなきゃいけないの」 そう感じる方もいるかもしれません。
でも、これは「親が我慢して折れなさい」という話ではないんですよね。
順番の問題なんだと思うんです。
子どもにとって親は、 いちばん最初に世界の見方を教えてくれた存在です。
だから、子どもが親を認めるというのは、 自分が立っている土台そのものを問い直すことになって、 とても怖い。
足元が揺らぐような感覚があるんですね。
それに比べると、親はもう、自分の足で立っている大人です。
だからこそ、 力のある側から、先にゆるめる。 それが、いちばん自然な順番なのではないかなと思うんです。
そして、不思議なことが起きます。
親が、 「あなたは、あなたのままでいい」 と、本当に認めたとき。
子どもは、親をあっと言わせる必要が、 少しずつなくなっていくんですね。
叫ばなくても、 もう声が届いたから。
すると、あれほど頑なに見えていた過剰さが、 すっと要らなくなっていくことがある。
エスカレートしていたものが、 ふっとゆるむ。
私は、そういう瞬間を、何度も見てきました。
もし今、 子どもが自分の嫌がることばかりして苦しい方がいたら。
あるいは逆に、 親が嫌がるとわかっていてやめられなくて、 そんな自分を嫌いになりそうな方がいたら。
覚えておいてほしいんです。
そのぶつかり合いの奥には、
「認めてほしい」
「認めたいのに、不安」
そんな、同じ願いが、 形を変えて隠れていることが、 とても多いのだと思います。
どちらが正しいわけでも、 間違っているわけでもない。
ただ、見ている世界が違うだけ。
そして、その違いを「間違い」ではなく、 「違い」として受け取り直せたとき―― 固まっていた空気は、 少しずつ変わりはじめるのかもしれません。
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