カウンセリングをしていると、こんな場面によく出会います。
「ちゃんと話してるんです。でもなぜか伝わらなくて」
そう言うクライアントさんの話を聞いていると、不思議なことに気づくんですよね。
伝わっていないのは、言葉が足りないからじゃないんです…。
むしろ、言葉は十分出ている。
じゃあ何が起きているのかというと…
相手の言葉を聞く前に、自分の中で「こういう意味でしょ」と先に答えを出してしまっているんです。
私はこれを「予測変換」と呼んでいます。
関係が深まるほど、予測が先に動く
付き合いが浅いうちは、相手の言葉を丁寧に聞こうとしますよね。
でも回数を重ねるうちに、「この人はこういう人だ」というイメージができてくる。
それ自体は悪いことじゃないんです。
むしろ、関係が積み重なってきた証でもある。
ただ、そのイメージが強くなりすぎると…
相手が口を開く前に、もう「解釈済み」になってしまうことがある。
カウンセリングでも同じことが起きます。
最初のうちは一言一言を丁寧に聞き取ろうとしている。
でも関係が深まってくると、「ああ、きっとこういう意味だろう」という予測が先に動き出す。
そして時々、外れる。
もう一つの予測変換 ~過去の傷からくるもの~
さらにやっかいなのが、過去の傷からくる予測変換です。
「どうせこの人も、私を傷つける」
「また責められてる」
「どうせバカにしてる」
相手はただ普通に話しかけているだけなのに、そう受け取ってしまう。
これは慣れからくるものじゃなくて、昔の経験が作り出したフィルターなんですよね。
裏切られたこと、否定されたこと、大事にされなかった記憶…
それがそのまま残っていて、今の相手の言葉をそのレンズ越しに見てしまう。
怖いのは、本人がそのフィルターに気づいていないこと。
相手を見ているようで、実は過去の誰かを見ている。
そんな状態なんです。

気づくことが、はじまり
どちらの予測変換も、悪意からきているわけじゃないんです。
慣れからくるものは相手への関心の裏返しだし、
傷からくるものは、もう傷つきたくないという自己防衛。
どちらも、とても自然な反応です。
ただ、気づいているかどうかで、関係は大きく変わってくるんです。
「あ、今私、予測変換してるかも」
そう立ち止まれた瞬間に、
もう少しだけ相手の言葉を、そのままの形で受け取れるようになる気がします。
今、私は、誰の声を聞いているんだろう…。
そんなことを、カウンセリングの現場で何度も一緒に考えてきました。
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