子供がまだ10代だったころ、私はとにかく必死でした。
何か問題が起きるたびに、どうにかしなければと思っていたあの頃の自分。
問題解決のために、あれやこれやと頭の中でぐるぐる考えて、答えを出して、動いて……
何とかその場を切り抜けた…そんなことが何度あっただろうか。
それが当たり前だと思っていたし、そうしないといけないとも思っていました。
でも考え続けても、現実は思い通りには動かないことの方が多くて、本当に右往左往していたなぁと思い出します。
あの手この手で、いろんなことを考えても、子供は私の思う方向には変わらないし、自分自身も変えられない。
そんなことは頭では分かっていたんです。
それなのにずっと考えて、答えを出し続けて、疲れ果てていました。
疲れているのに、止められない。
動き続けることをやめると、何かが崩れてしまいそうで怖かったんだと思います。
今思えば、本当は誰かに言ってもらいたかったのかもしれません。
「もう頑張らなくていいよ」と。
このままの私でいいよ、と。
でもその言葉は、どこからも来なかったんです。
誰も私の代わりにこの問題を解決してくれそうになかったんです。
私はずっと、このままの自分ではいけないと思いながら、強がって生きていたんです。
そんな昔のことを、今日改めて思い出したのには理由があります。
4月1日のカウンセリング講座の原稿を書いていたんです。
テーマは「AI時代のカウンセリング」。
その中で「腑に落ちる」ということを考える時間を作ろうとしていて。
頭でわかっていても、腑に落ちるまでにどれほどの恐れや勇気を越えなければならないんだろう?と感じたんです。
そのことをどう伝えようかと考えながら書いていたとき、ふと気づいたんです。
私自身が、腑に落ちていないことがあったな……と。
それは「答えを急がない」ということでした。
ウィルフレッド・ビオンは、20世紀のイギリスの精神分析家です。
彼はセラピストの姿勢についてこんなことを言いました。
セラピストがクライアントを「わかろう、変えよう」とすればするほど、相手の本当の姿から遠ざかっていく、と。
「相手を変えよう」とすること自体が、すでに「相手はこうあるべき」という前提を持っています。
その前提を持った目で見ると、相手の本当の姿が見えなくなる。
そして皮肉なことに、人が変わるのは、変えようとされた時ではなく、ありのままを受け取られた時なんです。
変えようとされると、人は身を守るために固くなる。
受け取られると、自分から動き始める。
だから苦しみが長く続いているとすれば、変えようとし続けているからかもしれない…そうビオンは言うわけです。
ビオンのこの考え方の背景に、「ネガティブ・ケイパビリティ」という概念があります。
もともとは1817年、イギリスの詩人ジョン・キーツが弟への手紙の中で書いた言葉です。
「事実や理由を性急に追い求めることなく、不確かさや謎、疑いの中にいられる能力」と表現しました。
ビオンはこれを心理療法の世界に持ち込みました。
答えを急がず、わからないままクライアントと共にいられること。
それが深い変容を生む、と。
今はマインドフルネスや感情調整の分野でも使われています。
「不快な不確かさを、解決しようとせずに保持する」ことが、人間の心の成熟と変容に深く関わっているという点で、共通しています。
頭ではわかるんです。
答えを急がなくていい、不確かなままそこにいていい…と。
でも実際にやろうとすると、怖いんです。
今日も私は、何かが解決しないまま夜を迎えることに、ものすごく抵抗しました。
このままでいいのか、何か手を打たなくていいのか…
頭がぐるぐると動き続けて、じっとしていることを全力で拒否していました。
それが私の頑固さだったんだな、と今は思います。
「わからないままでいる」を引き受けることは、思っている以上に怖いことです。
何かをしていないと、自分が崩れてしまうような気がする。
答えのない時間は、まるで宙吊りにされているような感覚です。
でも、それをやってみた夜、不安は不安のまま、
でも少し違う感じがしていました。
腑に落ちるというのは、知識として理解することではないんですよね。
体で体験して、それでも怖くて、それでも引き受けてみる。
その繰り返しの中で、少しずつ自分のものになっていく。
心から応援しています。
I support you wholeheartedly.
#生きとし生けるものが幸せでありますように
#May all living things be happy!
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