「どんな生き方もある」
子供にそう言ったことが、二度あります。
一度目と二度目のあいだには、十年以上の時間がありました。
同じ言葉を、同じ人に、二度言ったんです。
子供はその言葉を受け取ってはくれます。
でも、どこか腑には落ちていないようにも見えるんですね。
頭ではわかっている。
でも、体のほうがまだ信じていない。
そんな感じがするんです。
なぜなんだろう、と思っていたんですが、
最近、ふとひとつ気づいたことがありました。
人は、事実よりも、物語のほうを信じるんじゃないかな、って。

私が育ったのは、国鉄職員と教師と役所勤めで、ほとんどを占めるような小さな村でした。
今思うと、ずいぶん偏った環境だったのかもしれません。
でもその頃の私にとっては、それが「普通」だったんですね。
そういう仕事に就いて、そういう生き方をするのが当たり前で、疑うこともなかった。
それ以外の生き方があると知ったのは、ずいぶん後になってからでした。
最近、海外の暮らしを見たり、いろんな国の話を聞いたりしていると、思うんです。
「普通」って、本当にローカルなものなんだな、って。
日本で「ちゃんとしている」とされる生き方が、
別の場所ではまったく想定されていなかったりもする。
そう考えると、「正しいレール」っていうものがあるとしたら、
それはとても狭い世界の中だけの話なんじゃないかな、と思うんです。
だから私は、こう言うですね。
どんな生き方もあるって。
これは慰めでも励ましでもなくて、
事実として、そうなんじゃないかなと思うんです。
私自身も、いわゆる「正しいレール」からはみ出してきた一人です。
警備員をして、新聞配達をして、おかずの配達をして。
そうやって食いつないできた時期がありました。
あの頃の私は、「ちゃんとできない私」という物語の中にいたんだと思います。
でも今振り返ると、
あれはあれで、なかなか面白い時間だったとも思えるんですね。
同じ事実でも、物語が変わると、見え方はずいぶん変わる。
子供がなかなか腑に落とせないのも、無理はないのかもしれません。
「正しいレール」という物語は、
親からも、学校からも、社会からも、ずっと流れ込んでくるものだから…
でも、物語は変えられるものでもあると思うんです。
私たちは、自分の中の物語の中を生きていて、
同時に、それを書いている側でもある。
だとしたら、書き直すこともできるんじゃないかな、と思うんです。
「どんな生き方もある」という言葉は、
そのための、小さな種なのかもしれません。

今すぐ腑に落ちなくてもいい。
でも、いつか同じ景色が違って見える日が来るかもしれない。
そんなことを思いながら、
その日を、ゆっくり待っているんです。
心から応援しています。
I support you wholeheartedly.
#生きとし生けるものが幸せでありますように
#May all living things be happy!

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