親との断絶と痛みの記憶

親と縁を切るというのは、外から見ると「関係を断つ」ように見えます。


でも内側では、それは自分の肉の一部を引き裂くような体験にもなるのです。



なぜなら、親というのはただの“育てた人”ではなく、自分の中に流れているものそのものでもあるからです。

私の中には、あの人の言葉の癖、顔つき、怒り方、考え方の“パターン”が、無意識のうちに染み込んでいるような気がする…

そしてもっと苦しいのは、ふとした瞬間に「私、あの人に似てる」と感じてしまう事の恐怖かもしれません。


それは、「私は、憎んだはずの存在…要素を受け継いでいるかもしれない」という、自己否定では収まらない、自己消失の痛みです。



親を否定することが、そのまま自分の一部の否定になる。


だからこそ、どこかでかばいたくなるような気持ちが湧くことがあるのでしょう。


理不尽で残酷だったとしても「きっと親も苦しかった」と思いたくなる。
「私にも悪いところがあったかもしれない。」などと、自分に刃を向けることもあるかもしれません。


でもそれは、赦しではなく自分を守るための防衛であることもあります。


「親を否定すれば、自分も否定しなければならない」


だからこそ私たちは、記憶の蓋を閉めて、「見なかったことにする」のかもしれません。


でもその蓋は、心の奥で圧力をかけ続けます。
「私は親とは違う」


そう言って自分の正しさを確認したくなるときもあります。


でもそのとき、心の奥ではもうひとつの声がささやきます。
「本当に違う?」「もしかして私にも、あの人と同じ部分があるんじゃないか?」
その疑いが、自分の輪郭を揺らがせるのです。

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切り捨てたのに まだ痛い


毒親とは、子どもの痛みに目を向けなかった人。
子どもの心に、ちゃんと目を向けようとしなかった人。


そしてあなたは、そんな人のもとで傷ついて、
それでも何とか生きてきた。



縁を切るという選択をしたのは、あなたが弱いからでも、冷たいからでもなくて、
それが、自分の命と心を守るために、必要だったからだと思います。



でも、そこまでして離れたはずなのに、まだ苦しみが終わらない。
「私はもう無関係だと思いたいのに、自分の中に、あの人と似た部分があるように感じてしまう」
そんなふうに思ってしまう瞬間があるとしたら


それはあなたが深く人の心を感じられる人だからです。

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「じゃあ、私はどうしたらいいの?」


ここで、あなたは思うかもしれません。

「じゃあ、私はこれからどうしたらいいの?」

切り捨てたら楽になるはずなのに、心がついてこない。
切り捨てなければ、自分が壊れてしまいそう。
どちらを選んでも、痛みが残っている。

そんなあなたに、私は一つの見方を伝えたいと思います。

「見ないふり」ではなく「見えたものを大切にする」

世の中には、毒親と距離を取る方法があります。


距離を取って、自分を守ることでようやく自分らしく生きていけるようになる人もいます。


それでいいんです。
それが正しい選択だと思う人もいます。


でも、もしあなたが、心のどこかでまだ、

「私は本当に親との関係を断ち切ることができるのだろうか…」と悩み
「あの人は、ただの悪い人だったのか」と、疑ってしまう瞬間があって
あの親でさえ切り捨てることができないと思うのなら…


今自分が『毒親』と呼びたいあの親の中にも、小さくて気づかれなかった“何か”があったかもしれないと、感じてみることもいいのかもしれません。

その何かとは「小さくて、不器用すぎて見えない愛」です。


「それを今さら探したって無意味だ、そんなふうにあの人に何度騙されてきただろう…。何度搾取されてきたのだろう…」
そんな思いが沸き上がってくるかもしれません。


でも、もし心の奥で、あなたがその「何か」を見つけられたなら…

怒鳴られた夜の、ふと黙ったまま隣にいた背中。
何も言わずに置かれていたおにぎり。

絶やさなかった生活費…等々
そんな一瞬を感じられるなら…


それはきっと「なかったことにしなくていいもの」なんだと思います。


それを思い出すことが、あの人を赦すことでも、関係を戻すことでもなくて
ただ、あなたの中にある優しさの根っこを、ちゃんと感じるということなんです。

あんな親でもあんなに私に対してひどいことばっかりする親でも
砂浜の中の1粒の米粒のような優しさであっても…

その優しさは、私の中にもあると知ることになるからです。

そして「私はその一粒の米粒を大切に育てるんだ!」と誓って欲しいのです。

あの人の中にある,一粒の米粒を見つけた時、あなたは変わります。

あなたは、あの人のようにはならない。
なせなら。あなたはこんなにも見えにくいものを見つけた人だから。

そして今、その「見えたもの」を、自分の中で少しずつ育てようとしている。

それは、もう毒を終わらせる側の人になっているということなんです。

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