













収まらない怒りは、“昔の自分”からの叫び
ある青年が、職場で理不尽ともいえる対応をされたとしましょう。
自分なりに練った案を提出したつもりだったのに、言葉の途中で遮られ、受け入れられることはありませんでした。
青年はその瞬間、怒りがこみ上げ、そして会社を辞めたくなるほどの感情に襲われました。
それは単なる「企画の却下」や「上司との意見の食い違い」とは、明らかに異なる重さだったのです。
その怒りの根っこには、“記憶”がありました。
子どもの頃、彼の話を最後まで聞いてくれなかった父の姿。
「お前には無理だ」と、成長を否定された記憶。
話を遮られ、存在ごと否定されたような、あの感覚が再びよみがえったのです。
心理学では、こうした現象を「感情のフラッシュバック」といいます。
現在の出来事が、過去の傷と同じ“構造”を持っているとき、心は過去の記憶と今を重ねてしまうのです。
だから、怒りが爆発するのは「今の出来事」に対してだけではないのです。
それはむしろ、「昔の自分」が、ようやく言葉を手にして叫んでいるのです。

青年は家に帰り、妻と話します。
「それに…お前には無理って、すぐ言うところも似ててさ…」
「そうね。あなたのお父様って、人の話を聞かないタイプだものね」
こういう会話が、過去の記憶との関連付けにつながって、癒されていくということもあるのです。
未消化の感情
私たちは、大人になっても「こどもだった頃の自分」を生きていることがあります。
癒されなかった傷、認めてもらえなかった思いは、折に触れて顔を出します。
吹き出すチャンスを待っています。
だからこそ、心がざわつく出来事に出会ったときは、少し立ち止まってみると良いのです。
「本当は聞いてほしかったんだよ」
という
じゃあ、そんな子が出てきたらどうしましょう?
怒りが収まらない。
でも、それは「今のあなた」が悪いわけではないと思うんです。
心の奥で、ずっと我慢してきた“小さなあなた”が、
やっと声をあげてくれた…という見方をしても良いと思います。
「話を聞いてもらえなかった」
「わかってもらえなかった」
「ちゃんと見てほしかった」
…そんな思いを抱えたまま、じっとしていた“子どもの自分”が、
ようやく姿を現してくれたのだとしたら…
あなたは、その子にどんな言葉をかけてあげたいですか?
ただ、そっと隣に座って、こう言ってみてください。
「わかってるよ。
今まで、誰にも聞いてもらえなかったんだよね」
「遮られたまま、終わった気持ちが残ってたんだよね」
「ちゃんと話していいよ。全部、聞くからね」
それだけでも、心の奥の“昔の自分”は少しずつ落ち着いていきます。
怒りは、あなたを壊すためにあるのではなく、あなたを守るために叫んでいた声なのです。
泣いてもいい。
ただ、ひとつだけ忘れないでください。
「その怒りは、あなたの中にある大切な声だ」ということを。


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