あのとき、あなたも泣いていたんだよね
子育ての中で、思い出すたびに胸がしめつけられる記憶があります。まだ小さかった娘が、「学校に行きたくない」と泣いた朝。
私はその背中を、押し出すようにして玄関の外に出してしまいました。
あのとき私は母親業7才でした。
でも、どうしていいかわからない未熟な母親でした。
たぶん私は、怒っていたんじゃないんです。
怖かったんです。
「この子がこのまま学校に行けなくなったらどうしよう」
「ちゃんと育てられなかったらどうしよう」
そんな不安が、胸の奥で大きく膨らんでいました。
そして私は、その不安を処理できないまま、
娘の泣き声に耐えきれず、
彼女の気持ちごと、外へ押し出してしまったのです。
そのときの娘は、どんな気持ちだったでしょう。
たった7歳で、「行きたくない」と精一杯伝えたその声は、
あの子にとっては、本気のSOSだったと思います。
私はそのSOSに気づく余裕も、寄り添う力も持っていませんでした。
子育てには「正しさ」が必要だと、ずっと思っていました。
本当に、そうでした。
正しさを失ったら、私はもう“親”ではいられない気がしていました。
間違えたら、子どもが壊れてしまう気がしていました。
だから私は、あのとき“押し出す”という形で、
無理やり“正しい母親”を演じようとしてしまったのかもしれません。
でもあれは、正しさではなく、
「必死さ」だった。
自分を保つための、ぎりぎりの選択だった。
あのときの私は、
「これが母親として正しい」と思っていました。
でも今は、少し違う景色が見えます。 あの“正しさ”は、母親である私にとっての正しさだった。
でも、あの子にとっては…
間違いとして、記憶に刻まれたかもしれない。
どちらが正しいかではなく、
「どちらの痛みも、ほんとうだった」
今は、そう思えるのです。
本日のカード

あのとき、あなたも泣いていたんだよね。
追い詰められたあの日、どうしていいかわからなかったんだよね。
怒ったんじゃない。怖かったんだよね。
あなたはひとりで、どうにか「母親」になろうとしていた。
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