私は、長いあいだ自分が「特別にダメな人間」なのではないかと思っていました。

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何をやっても足りないような気がする。
うまくいかないのは自分が劣っているからだ。
周りの人とうまくなじめないのは、私がどこかおかしいからだ……

そんな思いが、ずっと心の奥に根を張っていたのです。


でもあるとき、ふと思ったのです。
「この感覚って、もしかしたら母から来ているのかもしれない」と。


私の母は、昔から自分に誇りを持っている人でした。


「私はこれが得意なのよ」

「あの人、ちょっとそれができないのね」
そんなふうに、どこか“上下”で人を見ているように感じる言葉が、私には印象的だったのです。

私はいつも、母の“すごさ”をそばで見せられているような気がしていました。


でも、大人になって心理学を学ぶようになってから、私は気づいたのです。


母の「私は特別」という感覚の裏には、
もしかすると「私は本当は何かが欠けている」という思いがあったのではないか、と。

そう思ったとき、私の中にあった「私は特別にダメなんだ」という感覚も、少しずつほどけていったのです。

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押し付けられた“特別さ”の影響

母が誇らしげに語る「自分のすごさ」や、
「他の人の足りなさ」に触れるたび、私は不思議な気持ちになっていました。

それは、子どもながらに「自分もそうあらねばならないのかもしれない」と感じる、ちょっとした息苦しさのようなものでした。


でも私は、母のようにはなれないと感じていました。


何かを誇れるほどの自信もなければ、人を評価できるような確信もない。

むしろ私は、どこかでいつも自分のことを
「何もできない」「周りより劣っている」と感じていたのです。

“母のようにはなれない自分”=“ダメな自分”。


それが、私の中の「特別に悪い私」という感覚を、静かに形づくっていきました。


今思えば、母が掲げていた「私は素晴らしい」という特別さは、

きっと母自身が心の中に抱えていた不安や劣等感を覆い隠すための“鎧”のようなものだったのだと…今は思っています。


そして私は、母のその鎧のきらめきに圧倒されながら、自分にはそれがないことに苦しんでいたのです。


こうして私は、「自分は特別にダメな人間なんだ」という
もうひとつの“特別”を、無意識のうちに背負うようになっていきました。


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“特別さ”には3つのタイプがある

「特別でありたい」「他の人とは違う」——
そんな気持ちは、誰の心にも少しずつあるものかもしれません。

でもそれが強くなると、自分を守る鎧になる一方で、人との関係をゆがめてしまうこともあるのです。


私が心理学を学ぶ中で気づいたのは、
“特別さ”の根っこには、実は大きな不安や傷が隠れているということでした。

そして、それは大きく分けて、次の3つのかたちで現れやすいと感じています。


1. “選ばれし者”型の特別さ

このタイプの人は、「自分は何か使命を持って生まれてきた」と感じやすく、
特別な力・特別な役割を担っていると思っています。

一見、誇り高く自信があるように見えますが、
その裏には「普通であること」への強い恐れがあることも多いのです。

常に人より秀でていなければと感じたり、
自分を証明するために過剰に努力してしまうこともあります。

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2. “犠牲者としての特別さ”型

このタイプは、「自分だけがこんなにつらい」「誰にもわかってもらえない」
という孤独感や被害意識がベースになっています。

苦しみが“自分の存在価値”になってしまうと、
そこから抜け出すことに強い恐れを感じることもあります。


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3. “見下し”型の特別さ

そして私の母が体現していたのが、このタイプでした。

「私はちゃんとしているのに、あの人は…」
「こういうことができない人は困るわね」

そんなふうに、表面上は落ち着いた物言いでも、
どこか“自分の方が上”という前提が透けて見えるような言動が多くありました。

でもその奥には、「人と同じに扱われたくない」という切実な感情や、
「そうでなければ自分の価値がなくなってしまう」という不安が
ひっそりと隠れていたのではないかと、今では思うのです。


こうした“特別さ”は、自分を守るために育ってきたものかもしれません。
けれど、知らず知らずのうちに、私たちはその「特別」という言葉に縛られて、人とフラットに関わることが難しくなっていくのです。
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ただの一人の人間として生きる自由


私の中にはずっと、「私は特別にダメなんだ」という思い込みがありました。


でもそれは、母の「私は素晴らしい」という姿を前にして
「私は母のようにはなれない」と感じていた幼い私の、
精いっぱいの解釈だったのだと思います。



母の“特別であること”が、母自身の心の守りだったように、
私の“特別に悪い”という思いもまた、私なりの心の守りだったのかもしれません。


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そう思えたとき、私は少しずつ、
「特別であろう」とすることから手を放すことができるようになってきました。


私たちは、本当はみんな「ただの一人の人間」です。
優れているときもあれば、情けないときもある。
人のことがわからないときもあれば、深く共感できるときもある。


そうやって、誰もが凸凹しながら生きている。
だからこそ、そこに“つながれる場所”が生まれていくのだと思うのです。


「特別であらねば」と背伸びしなくても、
「特別に悪い」とうなだれなくても、
私は、私のままでここにいていい。

その実感が、少しずつ私の世界を柔らかくしてくれました。


そして今、私の目に映る“誰か”のことも、
少しずつフラットに見られるようになってきた気がします。



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生きとし生けるものが幸せでありますように


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