そのまま見ることの大切さ - 曲った松の木と心理学の視点から
こんにちは、三好成子です。蓮如上人と一休さんの会話から心理学的なお話をしてみようと思います。

蓮如上人が待人に『この松を真っ直ぐにみよ!』と言いました。

そのとき、待人は必死に曲がった松を真っ直ぐに見えないかと試みました。
しかし、最終的に彼はこう思いました。「どう見ても、曲がった松だなぁ…」

その話しを聞いていた一休さんは、
「曲がった松をまっすぐな松だと見ろ!」と言っているのではなく
曲がった松を「確かに曲がっている松だな」と
ありのままの松の形をそのまままっすぐな心で見よ!と言っているのだよ…
と言ったというお話しです。

一休さんらしいお話ですね?
彼の禅的な智慧はいつも私たちに深い気づきを与えてくれます。
ここで重要なのは、あるがままに見るということが真っ直ぐに見るということです。
人間はなかなかそのまま物事を見られないものです。
では、なぜそれが難しいのか?というのがこれから話す心理学につながっていくのです。

認知バイアスとその影響
人間の認知はしばしばバイアスに影響されます。認知バイアスとは、情報を処理する際に生じる偏りのことです。
例えば、私たちは過去の経験や感情、文化的背景などからくる先入観によって物事を歪んで見ることがあります。
具体的には、次のようなバイアスがあります。
◆確証バイアス:
自分の信念や仮説を支持する情報を優先的に探し出し、反証する情報を無視する傾向です。
「この松を真っ直ぐに見よ!」と言ったとき、待人は最初に「松は曲がっている」という自分の信念を持っていました。
待人は必死に松が真っ直ぐに見える方法を探し始めました。
しかし、彼の信念が「松は曲がっている」というものだったため、
どんなに努力しても松が真っ直ぐに見える方法を見つけることができませんでした。

これは、自分の信念に合った情報(松が曲がっている)を優先し、それに反する情報(松が真っ直ぐに見える方法)を無視する確証バイアスの典型例です。
◆ステレオタイプ:
ステレオタイプとは、特定の集団や物事に対して、決まったイメージや固定観念を持ち、それに基づいて判断してしまうことです。
これは、実際の状況や事実を無視して、過去の経験や聞いた話に頼ってしまう、認知の癖の一つです。
たとえば、一休さんが「この松を真っ直ぐに見よ!」と指示したとき、待人は「松の木は一般的に曲がっているものだ」というステレオタイプを持っていました。
そのため、待人は実際に目の前にある松の木をしっかり見ず、最初から「曲がっている」と決めつけてしまったのです。
このように、待人は松の木の形を客観的に評価できず、自分の中の「松は曲がっている」という固定観念に従ってしまいました。
つまり、松がどう見えるかは、実際の木そのものよりも、彼の頭の中のステレオタイプが大きく影響していたのです。
このエピソードは、ステレオタイプがどれほど強く私たちの判断を左右し、物事を正確に見ようとする力を弱めてしまうかを表しています。

そのため、彼は最初から松の木が曲がっていると決めつけ、その固定観念に基づいて判断しました。
このステレオタイプがあるため、松の木が実際にどう見えるかを客観的に評価することができませんでした。
◆フレーミング効果:同じ情報でも、その提示の仕方によって異なる解釈をすることです。
エピソード例:
「この松を真っ直ぐに見よ!」と聞いたとき、待人は「真っ直ぐ」という言葉のフレーミングに影響されました。
もし一休さんが「この松をそのまま見よ!」と言っていたら、待人は松の木が曲がっていることをそのまま受け入れたかもしれません。
しかし、「真っ直ぐに見よ!」という言葉のフレーミングにより、待人は松の木を無理に真っ直ぐに見ようと試みました。
同じ松の木を見ているのに、その言葉のフレーミングによって待人の解釈が大きく変わりました。

日常生活で真っ直ぐに見られていないもの
日常生活で私たちが真っ直ぐに見られていないものには、さまざまな状況や人々が含まれます。
これらは、私たちが先入観や偏見、バイアスを持って接していることが多いです。
以下にいくつかの例を挙げてみましょう。
1. 他人の行動や意図
他人の行動や意図を誤解することはよくあります。例えば、同僚が会議で発言をしなかった場合、「興味がないんだろう」と決めつけることがあります。
しかし、実際には緊張していたり、別の理由で発言できなかったかもしれません。
このように、他人の行動を真っ直ぐに見ることが難しいことが多いです。
2. 自分自身の感情
自分の感情を理解するのは難しいことがあります。例えば、怒りを感じたときに、その原因が本当に目の前の状況にあるのか、それとも過去の経験やストレスの影響なのかを真っ直ぐに見ることは簡単ではありません。
自己認識を高めることで、感情をより正確に理解することができます。
3. ニュースや情報
ニュースや情報もバイアスを持って受け取ることが多いです。例えば、特定のニュースソースだけを信頼し、他の意見や視点を無視することがあります。
これにより、事実を真っ直ぐに見ることが難しくなります。
多角的な視点を持ち、情報を批判的に受け取ることが重要です。
4. 人間関係
家族や友人、パートナーとの関係においても、先入観や過去の経験が影響を与えます。例えば、過去に裏切られた経験があると、新しい関係でも相手を疑ってしまうことがあります。
これにより、相手を真っ直ぐに見ることが難しくなるのです。

どうすれば真っ直ぐに見られるか?
物事を真っ直ぐに見るためには、次の3つが大切だと思います。
1. 先入観を持たない
普段、物事を自分の思い込みで見てしまうことが多いです。
新しい情報を素直に受け入れることで、もっと正確に物事を見ることができます。
例: 松の木を見たとき、「松の木って曲がっているよね」と思い込んでいませんか?
そういう先入観をやめて、「本当はどう見えるかな?」と一度リセットして観察してみましょう。
そうすると、松の木の本当の姿が見えてくるかもしれません。
2. 他の人の意見を聞く
自分だけで見ていると偏ってしまうことがあります。だから、他の人がどう思っているかを聞いてみると、新しい発見があります。
例: 「この松の木、どう見える?」と他の人に聞いてみると、意外な視点を教えてもらえることがあります。それが、自分の見方を広げてくれます。
3. 自分を振り返る時間を作る
少し立ち止まって、自分がなぜそう感じたのかを考えることも大事です。
これを繰り返すことで、物事をもっと深く理解できます。
例: 「なんで自分は松の木が曲がってると思ったんだろう?」と考えてみると、自分の思い込みに気づけるかもしれません。
4. 多様な視点を取り入れる
自分だけの見方では限界があるので、他の人の考えや知識を取り入れることで、物事をもっと広い視野で理解できます。
例: 松の木について知りたいと思ったら、庭師や植物の専門家と話すと、今まで知らなかったことを教えてもらえます。そのおかげで、松の木のことがもっとよくわかるようになります。
多くの人と話し合うことで、見えなかった部分に気づき、物事をより正確に見ることができるようになるのです。

先入観やバイアスがその原因です。
しかし、自己認識を高め、多様な視点を取り入れることで、より正確に物事を見ることができるようになります。
蓮如上人の教えのように、あるがままに見ることの重要性を理解し、実践することで、私たちの生活や人間関係がより豊かになるのだと思います。
みなさんも、このような視点を持ちながら、日常生活を過ごしてみてください。
きっと新たな気付きが得られるはずです。
それでは、また次回のブログでお会いしましょう。